【特大号】平成のM1グランプリを振り返る②~漫才と笑いの変遷、M1で優勝できる漫才とは?~ 

kumajimaです。

 

 

 

平成を振り返るような番組ばかりですね。

新たな時代の到来を感じます。

 

 

 

平成最後のお笑い賞レースでは、キングオブコントハナコが優勝、M1霜降り明星が優勝。

どちらも20台中盤の若手(ハナコ菊田のみ30代)であり、新たな時代の到来を感じさせますね。

 

 

 

さて、前回はM1第1期、2010年までのM1を振り返りましたが、今回は、2015年から2018年のM12期を振り返っていこうと思います。

 

前回の記事はこちら!!

 

soturondatabase.hatenablog.com

 

 

前提として、第1期と第2期では、出場できる漫才師のコンビ歴が10年以内から15年以内になっています。

 

 

 

では、さっそく見ていきましょう!!

 

 

 

 

11 2015

優勝 トレンディエンジェル

2   銀シャリ

3   ジャルジャル

4   タイムマシーン3

5   スーパーマラドーナ

6   和牛

7   メイプル超合金

8   馬鹿よ貴方は

9   ハライチ

 

 

 

 

5年ぶりの復活。今回の審査員はM11期の歴代優勝コンビから9人の900点満点。

 

優勝のトレンディエンジェルは、敗者復活戦からの優勝。敗者復活戦の勢いをもって、本戦最終出番での出場は、相当なプラスである。

 

 

今回は本戦ファーストラウンド1位通過のジャルジャルが最終決戦3位となった。ジャルジャルは自分たちの新たなスタイルを見せる変化球漫才であったが、変化球なだけに一度見てしまった2本目は評価が下がった

 

 

2015年大会からは、コンビ歴が15年までに上がったことで、技術や経験が第1期に比べて、格段に向上した。

そのために、自分たちのやりたい漫才や、M1で勝つための漫才を演じる技術」ができてしまった。

 

だからこそ、求められるようになったのが自分を出すことである。今回のM1からよく聞くようになった審査員の「うますぎる」「自分の言葉じゃない」というのは、そういうことを揶揄している。

 

今回の最終決戦では、巧妙に仕組まれたジャルジャルの漫才より、自分たちを出したハゲの叫びが勝利した。

 

演じるのではなく、自らの言葉で話すのが重要視されてきたのがこの新たな時代。

 

 

 

だからこそ、よりその人の人柄やドラマにもフォーカスが当たり始めたのだと感じる。

 

 

だがやはり、技術は必要とされ、今回もほとんどが10年以上のコンビ歴で、最終決戦進出組は10年を超えている。そのため、最下位でもかなりのハイレベルで、最下位のハライチの審査員平均点は87.5点と高得点。

 

 

全体のレベルが上がったこそ、漫才の差は少なくなり、より細かな点が重視され、審査員の好みも反映されやすくなってきた。

 

 

最終決戦では、全組に票が入った。優勝のトレンディエンジェルは審査員の徳井に最低点をつけられている。

 

 

より細かな点の1つが、その芸人のドラマや叫びなのかもしれない。

 

 

 

超ハイレベルなM1。漫才以外も見られる時代へ。全てが揃ったものに与えられる称号がチャンピオン

 

 

 

 

 

12 2016

優勝 銀シャリ

2   和牛

3   スーパーマラドーナ

4   さらば青春の光

5   アキナ

6   ハライチ

7   カミナリ

8   スリムクラブ

9   相席スタート

 

 

 

 

今回の審査員は、前回と変わり、上沼恵美子松本人志博多華丸大吉中川家礼二オール巨人5人となった。審査員の数が減ったことで、1点、1票の重みが大きくなってきた

 

 

そんな中、優勝したのは銀シャリ今回は勝ちに行く漫才が多く見られ、今までの公式を技術で作る漫才が上位に見られた。

上位三組はテンポが早く、後半に盛り上がる漫才だった。和牛、スーパーマラドーナコント漫才なのに対し、銀シャリは会話形式の漫才。

 

 

会話形式になると、ボケとボケを会話で繋げなければならないためテンポを速くしづらいが、ボケで笑いを取るだけでなくツッコミでも笑いを取る銀シャリは、テンポが速かった。

 

 

後に、M12期の象徴となる和牛は、去年までの会話形式の漫才から、コント漫才に変えてきた。この時は、テンポが早く、前半の伏線を後半で回収し盛り上がる勝つためのお手本のような漫才だった。

 

 

1期後半同様、テンポの速さと後半の盛り上がりが求められている。芸歴が上がった分より高いレベルで求められている。

 

 

 

一方で、遅い漫才は、技術があっても評価が得られにくかったのがこの年。上位三組はに対して、下位三組はスローテンポの漫才だった。

 

とはいっても、点差の少ない全体としては、やはり超ハイレベルなM1だった。

 

 

 

 

M1で勝つことを目指して漫才をする時代。技術と経験で、勝利を掴み取る時代。

 

 

 

 

 

 

13 2017

優勝  とろサーモン

2   和牛

3   ミキ

4   かまいたち

5   スーパーマラドーナ

6   ジャルジャル

7   さや香

8   ゆにばーす

9   カミナリ

10  マヂカルラブリー

 

 

 

まず、ルール変更点として、笑神籤が導入された。

敗者復活戦の勝ち上がり組が最終番手で有利などの問題があったため、本番その場で11組、くじで決めていくという制度になった。そのくじが笑神籤である。

 

直前まで順番が分からずやりづらいとは思われるが、流石の技術と経験でそれを感じさせない。

ただ、笑神籤を導入後も一番手、二番手が不利なことには変わりない。

 

 

優勝は、とろサーモン。事前番組でも、ラストイヤー組としてフィーチャーされまくっていたので、とてもドラマチックな展開となった。

 

ファーストステージ3位通過、そして1票差の優勝と、かなりの僅差での優勝である。

どのコンビも高レベルで漫才としての差がないからである。

そこで、コンビのそれまでのドラマなどが関係してくるように思える。

 

この時代は本当に僅差。審査員の博多大吉が、漫才のレベルはみんな同じだったが、ツカミまでの速さが一番早かったから「とろサーモンに票を入れた。と話していて、本当に小さなところで、勝負が決まる時代となった。

 

 

また、今回の1つのポイントは6位のジャルジャルの評価である。6位ではあるものの松本人志は本大会最高の95点。松本人志今大会で一番面白かった」とも語った。

 

ここで、審査員の評価が分かれるどころである。従来のような漫才らしいものを評価するか、漫才らしくなくともただ面白いもの」を評価するかで評価が分かれた。

 

だが、これ以降、松本人志の発言と評価から少し流れが変わった。ジャルジャルのような漫才らしくないも面白ければ評価される時代に変わっていった。トムブラウンも評価が高った。

 

 

翌年のM1では、ジャルジャル3位と順位を上げ、この時評価の低かった中川家礼二からも評価を受けている。

 

 

面白いものが当たり前になり、そういった漫才のスタイルや、そこまでの背景、小さな技術にフォーカスが与えられるようになった。

 

 

 

 

 

面白いのは当たり前。100点満点を目指す漫才へ。

 

 

 

 

第14回 2018年

優勝  霜降り明星

2    和牛

3    ジャルジャル

4    ミキ

5    かまいたち

6    トム・ブラウン

7    スーパーマラドーナ

8    ギャロップ

9    見取り図

10  ゆにばーす

 

 

 

この年の優勝は霜降り明星

出番順も9番手と絶好の位置で、ファーストステージ1位からの、優勝ある。

 

 

平成生まれの漫才師、芸歴は6年目。

粗品は優勝当時25歳。

 

 

技術と経験の時代と言われコンビ歴が10年以上のコンビが揃う中での優勝である。

 

 

独特のツッコミと、テンポの速さが魅力。

 

ボケのせいやがボケ続け、粗品がそれにツッコミ続ける。粗品がツッコんでも、せいや応じることなく次のボケに行くのでテンポが早い。

 

話で繋ぐこともないので、色んな種類のボケをしやすい

ボケだけでなく、ツッコミで笑いが取れるので、笑いの量が多い。

加えて、最初のボケがとても早く、

4分間の賞レースには、最強のスタイル

だった。

 

 

しゃべくり漫才は、コンビ間の会話になり、お客さんが取り残されたりしがちが、粗品は全くせいやの方を見ず、お客さんの方だけを見たツッコミをすることで、お客さんを巻き込んだ。

 

 

技術や経験があるコンビばかりだったため「うまい漫才」が多かった。勝つための漫才をするために、演じたり、自分を作っているコンビも多かった。

 

中川家礼二ジャルジャルに「作っている」と言ったり、

ナイツ塙がかまいたちに「うますぎる」と言ったのは、

技術があるからこそのマイナスポイントだった。

 

霜降り明星が、それらのコンビよりは技術が劣っていたからこそ、自分を偽ることのない漫才ができ、評価につながった。

 

 

そして、そういった実力者は、全国区の有名漫才師や、M1本戦常が多かった。比べて、霜降り明星は、審査員も初見だったり、インパクトが大きかった

 

さらには、M1本戦の観覧は、お笑いをそれほど詳くないものもおり、和牛くらいなら知ってるけど、霜降り明星は知らないという人も多かった。そのため、お客さんの笑いも大きくなった。

 

 

さらに、さらに、もし優勝なら史上最年少というドラマチックさ。

 

 

全てが味方し、全てを兼ね備えたのが、霜降り明星だった。

 

 

ただ、霜降り明星も漫才らしいかと言われればそうでもない。会話を一切しないからだ。もっと言えば、せいやと、粗品は目も合わせることはない。

 

前述同様、トムブラウンやジャルジャルも、漫才らしくない漫才だったが、今大会は評価されるという流れができている。

 

 

漫才らしさよりも、面白いかどうかが重視され始めている。

 

 

 

 

 

 

新時代の到来。技術や経験だけじゃない「面白いエンターテイメント」が勝つ時代。

 

 

 

 

 

 

いかがでしたか?

同じM1でも、評価されるものが変わり、M1も新たな時代を迎えています。

 

 

これを書いた、kumajimaがM1を見ていて感じることは、「関西の漫才師の強さ」です。

 

 

トレンディエンジェルこそ、関東出身で優勝したが、第2期はそれ以外関西出身である。

 

 

また、出場コンビもほとんどが関西出身であり、昨年のM1はトムブラウンのみ非関西勢である。(ゆにばーす、はらは神奈川出身)

 

 

関西出身以外で、本戦に出場するのは、何か飛び道具を持ったコンビばかりである。

 

 

トムブラウンしかり、マヂカルラブリーしかり、カミナリ、相席スタートスリムクラブ

 

 

とても面白いコンビたちばかりだ。

 

だが、見てみたい。

 

 

 

関東の正統派漫才が、M1で活躍するところを。

 
 
次回、「正統派漫才師特集」をする予定!! 
 
 
こちらもお願いします!!
卒業論文データベース」
campfireページはこちら👇
よかったらご覧ください!!